魔都日帰りツアー顛末記



2002年
6月16日午後


「火曜日出張に一緒に行く?」
それはS.I.G.総帥のSさんの、この冗談とも取れる一言がが発端だった

その日、拙者はSさんに誘われ、Aさんと共に銃の調整に付き合った帰り、Sさんの車の中で雑談をしている最中に出た言葉だった

Sさんの出張がある事は知っていたが、その日の拙者は仕事があり、旅費もなかった
・・・・が

「出張費が出るから、なんならそこからガソリン代出すよ」
Sさんのこの発言により、2日後の東京行きが急遽現実味を帯びた

Sさんは宿泊場所を、同士KUROさんの家に定めていたため
「もし行くんだったら、KUROさんには何も告げずに言って驚かせよう」
との、愉快な計画が持ち上がった
ナイスな計画である
拙者はこういう意表をついた計画がたいそう好きなので、「もし行くんだったら」と、前置きした上で承諾し、商人と歓談する悪代官のような顔で笑った

この日はこの後別な用事があり、東京行きが確定しないままSさんと別行動となった
だが、頭の中ではもう既に東京に行き、驚くKUROになんとコメントするかで頭が一杯だった




そして、某所での用事を済ませ、職場に電話し、休みの調整をしてみたところ、あっさり休みが取れた
この時点で東京行きは確定である
Sさんにメールを送り、火曜日の行動が可能な事を告げる

いざトーキョーである

この後、一緒に行動していたAさんを家まで送り、Yさんの家に顔を出しに言った
1/76のドイツ戦車のプラモが好きなYさんに、もしあったら何が欲しいかのリストをメールで送ってもらうためである

んで、出発は2日後の午後で、現地到着は5時頃なので、その頃までにメールを送ってもらう事で話は済んだ
帰り際「KUROさんには東京行きは内緒なので、もし電話なりメールなりがあったら、この件に関してはすっとぼけといてください」
と告げた
我ながら綿密な根回しである






6月17日

この日は平常どおり進行していた
明日の準備といっても日帰りなので、着替えがいるわけでもない
車を整理し、雨対策をする程度で準備を終える

そんな折、KUROさんから電話が入る
無論明日の東京行きは内緒であるので、その手のネタになったらすっとぼける腹づもりである
んで、平常を装いいつもの通りの会話をする
話題がSさんの話にシフトしたので、「そういえばそんな事もありましたね」程度の認識しかないように振舞った
話はこのまま深入りしないで終了
うはははははは、明日強襲をかけられるとも知らず
そんな事を考え、一人ほくそ笑んだ

決行は明日である
この日はおおよそいつもの時間に就寝し、明日に備えた






6月18日

いよいよ本日は東京行きである
道中で赤羽のガンショップに寄り、その後KUROさんを驚かす
以上を本日の行動のメインに据え、あとは成り行きで対処する事にした

とりあえずの集合場所と時間は12時半にSさん宅である
20分前に家を出て、5分遅刻の12時35分にSさんのヤサに到着した

その後、Aさん宅に寄り、買ってきて欲しいもののリストを受け取り、高速に向かう

高速に乗る前に、Sさんが借りてきたカーナビを設置するための小道具を、100円ショップにて購入
その後、コンビニで食料を調達
かくして準備は整い、いざ高速へ
この時点での時間は、13時半を回っていた
食料を補給するSさん

んで、高速に乗る
しばらくするとKUROさんから電話がかかってきた
普段拙者は寝ている時間なので、ここで電話を取ると悟られるのではないかと危惧し、Sさんの「あえて取らないでおこう」という進言もあり、無視を決め込んだ

んで、高速内でSさんにカーナビを調節し、テレビが写るようにセッティングをしてもらう
なにせ本日は日本対トルコの試合があるのである

外は景気よく雨が降っている

途中一度那須高原SAで補給をしたのみで、高速での移動が続く

15時半ちょっと前
サッカーにキックオフが数分後に迫った頃、KUROさんより電話が入った
ここは高速なんで騒音がひどく、まともに会話にならないため、会話らしい会話も出来ず電話での会話は終了した

この電話の後
「KUROさんは勘付いたんじゃないの?」
と、Sさんが言う
「大丈夫でしょう」
と、拙者は完全に楽観視し、Sさんの危惧を打ち消す
騒音がする場所なんぞいろいろある
Sさんは必要以上に危惧しているのであろう

さらに移動は続く
車内ではSさんと共にサッカーの内容にラテン気質丸出しで騒いでいた

その後、浦和にて高速から環状線にシフトし、適当なところで下りた
ここからは国道を移動である
サッカー中継をラジオのみにし、ナビを参考に移動を開始する

かくしてサッカーの結果が出るのを待たずしてに赤羽駅付近の駐車場に到着
ここから徒歩にて赤羽のフロンティアに向かった
外はけっこうな雨が降っていた


フロンティアに到着し、内部を物色
アラブスカーフであるところのシュマーグが気になったが、テロリスト御用達の赤いのがなかったため、購入を見送った
AK用のバヨネットを発見したが、使い道がないので、これも購入を見送った

適当に物色を終え、頼まれていたものを探す
まずはYさんの注文の戦車である
サイズは1/72 〜 1/76
主な希望はドイツ兵のフィギアや戦車
判断に困るものも多数あったので、Yさんに直に電話し、購入を検討した
結果ある程度の量を確保し、Yさんの注文の品を購入

次はAさんの注文の品である
注文の品はあるにはあったが、全てオーダーの値段より微妙に高かったので、Aさんに電話する
かなり長い話中の末繋がった
えらい長い間、肉屋とサッカー談義をしていたらしい
なんじゃそりゃあ!

で、いささか高い注文の品にOKをもらい、購入した

で、自分の分はというと、モーゼルの入るホルスターを購入
それだけだったが、自分的には結構重要であった

店員がサッカーについて雑談をしていたのが、何気に耳に入った
日本は負けたらしい
む〜

こうして買い物を終え、店を後にした

途中の店で軽くお食事をする
Sさん絶賛の「松屋」という店でカレーを喰らう
安く、早く、うまい
だが、カレーに味噌汁がつくのはどうかと思う
いや、うまかったんだけどね

食事の後トイレを済ませ、この店を出た


そんなこんなで車に戻る
駐車時間は1時間48分
結構かかったもんである




ここからはKUROさんのアジトにダイレクトに向かう
場所に詳しいSさんがいるし、ナビもあるので、安心して移動をする

Sさんはナビの内容にことごとく別のオーダーを出す
渋滞があるとか、こっちの方が近い等の、経験の蓄積がある様子である
どうもこのナビは「初めて移動する人に解りやすい道」というものに主眼を置いているようであり、道を知るSさんにとっては、逆にしゃらくさいのであろう

移動移動で、20時18分にKUROさんのアジトに到着
さて、驚くKUROさんになんと声をかけたものか
勝利者の余裕全開でインターフォンを押す
すると・・・

突如入り口のドアの隣の窓が開き
「しろじろ〜はいらんぞ」
との声がかかる

SHIT!
到着時の車の音で勘付かれたか!?

KUROさんが、何故拙者が来る事が解っていたのか
疑問が頭をぐるぐるする
身に覚えはナシなし
一体何故?

勝ち誇ったKUROさんから真相が明かされる
「内通者がいたのだ」

内通者
考えてもみなかった
こちらとしては騙す気満々でいたのだ
まさかその自分が騙されていようとは・・・

そしてその内通者は、他ならぬSさんであった
7時間も行動を共にしながら全然気がつかなかった

聞けば、計画立案の当日の2日前から情報が漏れていたらしい
松屋で拙者がトイレに入っていたときにも電話で情報が漏れていたらしい

Sさんはたいした役者である
すげぇよ、Sさん

かくして勝ち誇った拙者は、一瞬にして情報戦に敗北した負け犬と成り下がったのである
例えるなら、サッカーで5点の点差でリードしておきながら、ロスタイムで一気に逆転されたようなものである
これにはチョモランマを頂上付近で一番下まで転がり落ちたような衝撃を受けた
うおおおおおおおおおお!!
勝ち誇るKUROさん・・・うぬぬぬ うなだれる拙者。これもさだめか・・・

そして拙者は、失意のまま2人のお食事に同行する
「江川亭」なるラーメン屋で、味付き玉子麺をすすり、にゃん玉丼を喰らいながら、ショックを引きずっていた
心で「ネタ的にオイシかったからいいじゃん」と繰り返し自己暗示をかける

うん、そうだよな、オイシかったよな
んで、御食事→買い物のコンビネーションをこなし、KUROさんの家で韓国対イタリア戦を観戦し、帰宅する運びとなった

うん、そうだよな、オイシかったよな・・・
芸人としてはオイシかったが、策士としてはすべてが虚しかった




で、明日は仕事なので、一人会津に向かう
ルートなんぞ適当でいいのだが、Sさんが最短ルートを教えてくれたので、その通りに言ってみる事にした

Sさんの推奨するルートは、目の前の通りから国道256号線に乗り、そこから外環に乗る
そのまましばらく行くと東北道に入る
と、まあ、一番まっとうなルートであるので、異論を挟む余地も無く、その通りに進む事にした

で、いざ移動してみる
途中、Sさんの言う国道256号線があったので、入った
しばらく行くと国道17号線を発見
上に首都高らしきものが走っているので、そのまま進行してみる

どうもこの時点でSさんの言う道から脱線していたらしい
地図で間違っている事を確認したので、ここから自分なりに軌道を修正してみる

「こうなったら戻るより進んだ方が早い」
そう判断した拙者は、このまま17号線を突き進む
「このまま行くと国道16号線になり、その先には東北道がある」
地図を見てそう思い、そのまま進む
そして、16号線に乗り、しばらくそのまま進む

途中から再び17号線に乗った
このときチラッと
「あれ?17号線に戻るんだっけ?」
と思いもしたのだが、まあいいやと、そのまま進行

その後は看板を見て、ノリで進行ルートを想定し、進む

進行しているうち、いよいよもっておかしい事に気付き、地図を見る
ここで初めて、進行ルートを大きく逸脱している事が判明した

ここは「君子豹変する」という格言を持ち出し、今までの進行ルートを反省し、本来の道に復帰する事にした

途中の国道125号線に乗り、そのまま移動すれば加曽インターに乗れる
解りやすさでも比類ないので、125号線を進んでいったのだが、しばらくしてまた17号に出た
!?

そんな事は聞いてない
とりあえず標識を見て、東京方面ではないほうに進んだ

しばらく進むと、「←越谷駅」との看板を発見
ここで地図を確認したところ、どうやら125号線までは合っていたものの、進む方向を間違えた事に気付いた

うわ、やべぇと、慌てて元の道を戻り、ようやく東北道に乗ることが出来た
高速に乗ったときには、KUROさんの家を出てから実に3時間が経過していた




で、高速へ
降っていた雨もいつのまにかやんでおり、空には星が見えた

高速道路では特にイベントも無く進行した
いつもならこの時間はいやでも疲労しているものだが、この日は全然眠くなかった

途中の道で、何度かリミッターがかかるほど加速してみたりすることが出来たのも、眠くなかったからであろう


かくして、途中の磐梯高原SAで燃料を補給し、会津若松インターに到着
朝の高速は負けたことを一瞬忘れさせてくれる程鮮やかだった(でも、一瞬だけね)

その後はSさんの車にSさんの荷物を置き、直帰
帰宅時間は5時17分であった

こうして、東京日帰りの旅は終わった




まあ、何と申しますか・・・・
Sさんが総帥を勤める組織S.I.G.の社訓である
「信じるものは騙される」
 を地で行く旅でしたとさ


次回こそは・・・・と、心に闘志を燃やしつつ、今回のレポートは終了


お疲れ様でした・・・自分

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